銀盤少年

草太君は大げさに首を縦に振る。


結構距離があったし、草太君はあんまり耳が良くないみたいだから本当に聞こえてないと思うけど、カズのことを話していた事実がケンちゃんにとっては恥ずかしいようだ。


「でも、カズ遅いね。委員会もとっくに終わってるだろうし。草太君見なかった?」


「えっと……知らない、です(途中まで一緒に立ち聞きしてたなんて言えないよぉ)」


なんだろう今の間は?


草太君は何か隠している様子だけど、危機的状況ではなさそうだ。


サボりってわけではないだろう。どこかで優希ちゃんと一緒に道草でもくってるのかな?


デートで遅刻とは、なかなかいい根性してるじゃないか。


「最近遅刻癖がついてきたし、ここらで一発お灸を据えてやらないとね。さっき先生に聞いたら今日の貸し出し時間は晩くまで取れたみたいだから、ルッツのエッジが直るまでカンヅメにしてやろっか」


「そう、だな(また軟禁か)」


「あはははっ……(先輩ごめんなさい)」

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