銀盤少年

ケンちゃんと仁君のことは一部の人は知っているようだし、ここより外の方が人目に付き難い。


ゆっくり話をするには良い機会だ。


「朝飛さーん!」


突然朝飛の名前が呼ばれて声のする方へ視線を向けると、そこには全選手のあこがれであるjapanジャージを纏った眼鏡の少年が手を振っていた。


あれは予選会に出場していた……圭吾君だっけ?


全日本ジュニア二位。予選会ではチームを二位に導いた実力者。


カズ曰く『かなりのタクさん信者』らしく、性格にやや難ありと述べていた。


見た目は大人しそうな少年なのに、人は見掛けによらないな。


「予選ぶりですね。えーと、そっちは確かカズさんの……」


「広野です。これから宜しくね」


なんだか眼光が鋭い。頭の先から爪先まで、舐めるように見られると流石に気分は悪くなる。

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