銀盤少年
「そか。一先ず安心だな」
ふぅっと息を吐いて水を飲む。
と同時に得点が発表された。
「―――の得点、65.17」
技術点33.92。演技構成点 31.25。
アクセルとコンビネーションを完璧に跳び、ルッツのミスを最小限に抑えたのが勝因だな。
スピンの細かいミスも、ジャンプの加点で相殺されているだろう。
ジャンプで加点が貰えるのはカズの大きな武器だ。ジャンプの強さがPCSを押し上げている要因にもなっている。
ジュニアで60点台後半が出れば、上位陣であることは間違いない。
SPの演技者でこの得点を超すことが出来る選手は……。
「さて、うちのエースの登場だ」
熊川仁、彼だけだ。