銀盤少年
不安は的中。エッジは氷を捉えることが出来ずに転倒してしまった。
でもまだだ。狼谷の実力なら、一つ二つのミスなら十分挽回出来る。
アクセルの転倒は想定内だったのか、ヒロはピクリともせず見守っている。
草太や優希だって、ここから怒涛の快進撃を信じて力強い眼差しを送ってる。
だから、
「あっ……!」
立ち上がり際に膝が崩れた狼谷に、何が起こったのか一瞬理解出来なかった。
え? まさか!?
「また足首を!?」
なんてこった。この前痛めた足首をまたやっちまうなんて。
こっからじゃ怪我の程度は全然わからない。一回演技を中断して、状況を判断するしか……。
狼谷は右足を庇いながら立ち上がる。