銀盤少年
「んなことは知ってる! でもヒロのならあの馬鹿を!」
「俺達じゃ止められないよ」
鈍い音が響く。
身体がリンクに叩きつけられる嫌な音。随分派手に転んだようだ。
「ケンちゃんはこの試合を降りるつもりなんて毛頭ない」
ヒロは言う。
「手足が折れても続ける。そういう性格だからね」
「だからって……」
正直観てられない。
なんでもないような表情を繕っているが、右足を庇っているのは素人目からも明白で、ほとんど左足だけで滑っているような状態だ。
三つ目に予定しているのはループからのコンビネーションジャンプ。
ループは右足一本で踏み切って、右足で降りてくるジャンプ。今の狼谷じゃとてもじゃないが跳べやしない。