銀盤少年

じゃあヒロと行くかと誘ったら、ケンちゃんを観てなきゃいけないからとやんわり断られた。


狼谷もブロック大会に出場するから、コーチ兼トレーナー兼振付師のヒロが側にいないといけないのだ。


まあそうだよな。今年のNHK杯はブロック大会と若干時期が被ってるし、それどころじゃないよなぁ。


狼谷の怪我は無理をしたせいで少し悪化していたようだけど、大事には至らずすぐに完治した。


怪我ばっかでまともな練習が出来なかったから、追い込んでる最中だ。


てなわけで、消去法で優希と行くことになりました。どうしてこうなった。


まあでも仕方ない。折角の試合観戦だし、一人で行くより誰かと一緒の方が楽しめるってもんだ。


「まさか一樹がデートに誘ってくれるなんてねぇ。色気のない高校生活だこと」


「お前も人のこと言えねーだろ。そういやサッカー部だが野球部だかの奴とはどうなったんだよ」


「お断りしたに決まってんじゃん。私は軽い女じゃないしね」
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