銀盤少年
「使ってくれんじゃね? この前会った時俺の衣装褒めてくれたから、お前のセンスはミューさんの琴線に触れてんぞ。たぶん」
「な、なんだってー!? 嘘だ! 絶対嘘だ!」
「嘘ついてどうすんだよ。素直に喜べ」
「だってあの安西美優だよ! 毎年超素敵な衣装を纏っているミューちゃんが、私なんかの衣装を褒めてくれるなんてありえないよ! 私センスないもん! クソだもん! ウンコだもん!」
じゃあなにか? 俺は毎年ウンコが作る衣装を着て滑ってるというわけですか?
嗚呼ダメだ。こいつ完全に混乱してる。
言ってることがメチャクチャだし、公衆の面前でウンコ発言しちゃってるから末期だ。
「とりあえず落ち着けって。周りを良く見ろ」
「周り?」
いくら周囲がざわついているからって、大声で「ウンコ」と叫べば注目されるに決まってる。
冷たい視線を四方八方から浴びせられ、優希は顔を真っ赤にさせながら俯き押し黙った。