銀盤少年
数時間後。都内某ホテル。
恐らく優希は、過去最高峰の緊張感の渦に呑まれている。
「あああああああの、ここここれを!」
安西美優のメルアドを売ると言ったら、一体いくらで売れるんだろう?
まあそんなことは絶対しないですけど。そこまで腐っちゃいませんぜ。
駄目元でミューさんにメールをしたら、宿泊しているホテルに来てほしいと連絡があった。
んでホテルのロビー。試合後なのに爽やかスマイルを浮かべているこの人が、絶対女王の異名を持つミューさんであります。
こんなに緊張してる優希は生まれて初めて見た。どんだけドモってんだよ。
「わぁっ! 凄い凄い! これ手作りなの!?」
プレゼントをその場で開いて中を確認すると、ミューさんのテンションは急上昇。
それに比例するかのように、なぜか優希のテンションは急降下。
緊張しすぎだろ。嗚呼でも、これが普通のファンの反応なのか。