銀盤少年
目の前に憧れの人物が現れて、手作りのプレゼントを手渡したら相手がどういう反応をするか気になるもんなぁ。
と、ミューさんは何を思ったのか、一本に結わえていた髪を解き始めた。
そんで優希の髪飾りを手に取ると、鏡も見ずに慣れた手つきで髪を束ねて、パチンッと束を留めた。
蝶の形をしたブルーの髪留め。「どうかな?」と感想を求めるミューさんに、優希は首が取れそうになるほどの勢いで上下に頷いた。なんか喋れ。
「手作りの髪留めを貰うのは初めてだよ。ありがとう、次の試合からこれを付けて頑張るね!」
「あ、いえ! そんな、私の方こそありがとうございます!」
まあ、なんだかんだでお二人とも喜んでいただいたようで良かった良かった。
これで優希も少しは、俺のことを尊敬し敬ってくれるだろう。
ミューさんにはほんと感謝しないと。忙しいはずなのに呼んでくれて、優希のプレゼントにまで気を使ってくれて。
挙句の果てに、NHK杯のチケットが今日の分しかないことを話の流れで言ったら、翌日以降のチケットもプレゼントしてくれた。