銀盤少年
「やべ。じゃあ、一樹に飽きたら俺に連絡頂戴。メアドとケー番は一樹が知ってるからさ!」
「逃げんな孝司! 今日という今日は去勢してやるからな!」
嵐が通り過ぎて行く。
タカさんも大変そうだな。去勢と女遊びを天秤にかけて生きているのだから、ある意味尊敬出来る。ある意味で。
はぁっと溜息。
こんな所で油を売っている場合じゃないのだ。まじで大事な試合控えてんのに。
時が経つのは本当に早い。
この前NHK杯が終わったと思ったら、あっという間に全日本ジュニアが始まろうとしているのだ。
日本のジュニアナンバー1を決める大きな大会。
シーズンでもっとも大事な試合に位置付けている選手が大半で、もちろん俺もその一人。この日のために調整してきたと言っても過言じゃない。
この全日本ジュニアで結果を残した上位選手が、特例で全日本選手権に出場出来る。