銀盤少年
「お前なぁ、おばさん達と一緒じゃなかったのかよ? 一人でいるとタカさんにお持ち帰りされちまうぞ」
話を戻して、タカさんに絡まれていた優希に説教。
だけど当の本人は反省の色など一切見せずに、会場の入り口で配っていたパンフレットを眺めている。
おい、助けたんだからちょっとは感謝しろよ。
「ママはもう観客席にいるよ。お手洗いに行ってたら、ちょっと迷っちゃって」
「んで、タカさんに捕まったわけか」
「でもあの人カッコ良かったなぁ。私のこと可愛いって言ってくれたし、案外アリかも」
「おいばかやめろ。寝言は寝て言え」
タカさんと優希が付き合うとか、この世の終わりってレベルじゃねーぞ!
試合前に気持ちの悪いこと聞いちまった。さっさと忘れなきゃ演技に影響しちまう。
「頑張ってね。草太君と健太郎君との表彰台独占を期待してるから!」
「おう。期待してろ」