銀盤少年
―――全日本ジュニア選手権。
初日の男子SPから、波乱の展開が待ち受けていた。
SPのトップに立ったのは予想通りというか仁。
橋本杯で出した自己ベストを更新。72.07という高スコアを叩き出した。
ナショナル大会じゃ参考記録にしかならないけど、シニアでも通用する得点だ。
腐っても世界ジュニアを制した男。ここ一番で本気を魅せつけてきた。
二位に入ったのがなんと狼谷。
68.20というこれまた高い得点を叩き出した。演技構成点だけならトップの成績。
課題だったジャンプの細かいミスやスピンのレベル取りを、一カ月足らずで完璧に修正してきた。
狼谷の適応力にも感服するが、ヒロの指導力にはずっと驚かされっぱなしだ。
宮本先生もヒロの指導には太鼓判を押しているし、もうこのまま指導者して食っていけるんじゃねえか?
そんでもって、三位に入ったのが俺。