銀盤少年

そのコンビネーションジャンプのことを『シークエンス』と言い、基礎点に0.8倍の係数をかけたものが得点になる。


最初のアクセルをバッチリ決め、ワンステップ踏んで再び跳躍。


若干詰まったが問題ない。これでジャンプの要素は全て終わった。


残る要素は二つ。狼谷が最も得意としている要素。


ストレートラインステップシークエンス。


壮大で力強く、不穏でだけど自然美を帯びた旋律に、己の感情を乗せてリンクに軌跡を残していく。


得意なターンだけを組み込んだレベル3狙いの守りのステップ。


そう狼谷とヒロは言っていたけど、どこをどう見たらあれが守りのステップになるのか小一時間問い詰めたい。


ディープエッジで細かいターンを軽々とやってのけるのは最早当たり前。


狼谷の凄い所は上半身と足元が全く別々の動きをしていて、頭もグルンっと遠慮なく動かすのだ。


あれは地味に難しい。それをどこ吹く風で平然とやってのける。
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