銀盤少年
「は、はい……」
こうなったヒロは、誰にも止められないのだ。
「なるほど。遊び半分でたまたま跳んだら着氷出来て、それ以降ひっそりと練習を続けていたというわけか。無茶というか馬鹿というか、今は基礎を固める方が重要だっていうのに……」
包み隠さず全てを話す。
ヒロは腕を組みながら仁王立ち。俺はベンチに腰掛けて縮こまる。
後半はブツブツと独り言のように喋っているけど、バッチリ俺の耳には届いている。
要約すると『スピンもまともに出来ねえ奴が、四回転に挑戦してんじゃねーよ』ということらしい。
耳が痛いです。おまけにルッツの矯正も出来てないです。なんかごめんなさい。
あらかた酷評をぶちまけてスッキリしたのか、ヒロはふぅっと小さい息をつくと呆れたように頭を掻いた。
「で、なんで黙ってたわけ?」