銀盤少年
「肩と膝と足首。元々怪我が多い体質だったけど、三か所も同時にやっちゃってね。覚悟の上ではあったけど、流石に落ち込んだよ」
苦笑い。ヒロは困ったように眉尻を下げると、どこから取り出したのかCDケースのような物を持ちだして、俺の眼前に差し出した。
良く見るとそれはDVDで、表面にはこれまたロシア語だと思われる文字がマジックで書かれている。
「俺が成功させたのはたったの三回。内二回の映像がこれに入ってる。それと合わせれば、タイミングぐらいは掴めるんじゃないか?」
「え、待て! 話が急展開すぎて付いていけねーって!」
ただでさえヒロも俺と同じことをしていたという事実に驚きを隠せずにいるのに、どんどん話が進んで行ってなにがなんだかわからない。
それにさっきまでの話の流れじゃ、ヒロは俺の挑戦には否定的だったはずだ。
ましてヒロ自身が大怪我をする破目になった原因のジャンプ。
怪我のことは今知ったばかりだけど、彼の性格からして俺が無謀な挑戦をしていることを知ったら、どんな手を使ってもやめさせるだろうと思ったから、ヒロには念入りにバレないよう行動してきたのだ(とっくにバレてたようだけど)
それを容認するばかりか、こんな貴重な資料と映像までくれるなんて、正直考えられない。