銀盤少年
冬の妖精
ケンちゃんの演技後、先に演技を終えた仁君が労いの言葉をかけにきた。
「よっ。お疲れさん」
「嗚呼、お疲れ様」
どこかぎこちない二人。視線が泳いでその後が続かない。
それでもこうして会話を交わすぐらいには、二人の関係が良くなったということだろう。
「ヒロノンもお疲れ。まさかケンのコーチになってるとは思わなかったぜ」
「正確にはコーチじゃないけどね。なんなら来シーズンから俺の所にくる?」
「それはやめとく。お前昔からスパルタだったし」
「賢明な判断だな」
「だろー? ふへへっ」
こうして三人で馬鹿な話が出来るのはいつぶりだろう?
二年間の溝はかなり深いかな? とは思っていたけど、この分なら問題なさそうだ。