銀盤少年

フライングキャメルから仰向けのキャメルにポジションを変更。シットスピンに移行して、上体を起こしながら軸足を換える。


男子では珍しいレイバックスピンを行い、そこからクロスフットスピンに持って行く。


自然に回転速度が落ちるのを待ち、最後に一回クルッと回り演技を終える。






―――冬の妖精が跳び上がったのは、言うまでもない。






今日一番の大喝采。まだ後ろに三人控えているけれど、これ以上の盛り上がりは残念ながらないだろう。


総合力の熊川、表現の狼谷、そしてジャンプの鷲塚。


大塚世代の三強が作り出しこの空間は、もう誰にも壊せない。


「すっげぇ。カズキンの奴いつのまにあんな大技を……ヒロノは知ってたのか?」


「知ってたもなにも、アレを完成させたのは一応俺だから」
< 476 / 518 >

この作品をシェア

pagetop