銀盤少年

緩急がしっかりしていて、メリハリがある。ターンの切れ味も健在で、一つ一つの動作がしっかりしているから大きく見える。


あれだけ激しい踊りなのに、表情は崩れることなく怪しい笑みを浮かべているのが驚き。


身のこなしや雰囲気。男にこういう表情は変だけど妖艶だ。


演技に引き込まれて瞬きさえ惜しい。


最後の要素。コンビネーションスピン。


フォアのキャメルスピンからシットスピンに移行し、素早く軸足を入れ換えて再びシット。最後に上体を起こしてアップライトスピン。


額の汗を拭う動作でフィニッシュ。


演技の余韻が、この場にいる全員を包みこんだ。






演技を終えた狼谷は、息を切らして膝を抱えながら立ち尽くしていた。


とてもブランクがあるような演技じゃなかったが、やはり体力面での衰えはあったらしい。

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