銀盤少年
草太君と一緒に、試合後に発行されるプロトコルを確認した。
4Aは認定。基礎点15に多少の加点も付いている。
プロトコルに4Aの二文字を見る日がこんなにも早く来るとは思ってもみなかった。しかも認定されてるなんて。
ただスロー映像を見た限りではかなりギリギリのラインだった。
その証拠に、GOEの加点減点を決めるジャッジの内二人が、4Aに-1の減点をつけていた。二人のジャッジは回転が足りないと独自に判断したようだ。
国内のジュニアの大会。話題性もあるし、多少の不足分には目を瞑ったのだろう。
国際大会では恐らくURを取られていただろうが、ジャッジの采配なんて予測がつかない。練習をし始めて間もないし、回って降りれただけでも十分過ぎる成果だ。
「ヒロ先輩、この二点ってなんですかね?」
草太君がプロトコルのある一点を指さす。
そこにあるのは+2の加点。だがそれはGOEではなく、見慣れないところに書かれている。
「俺も初めてみたけどボーナス点だろうね。というか、これも何気に世界初じゃない?」