銀盤少年
【乙女の秘密】
ひょんなことから、健太郎君と二人っきりになりました。
皆の練習を見学しに来たのだけど、なんだかスピスケ部の方でトラブルがあったらしく、カズと草太君とヒロ君が駆り出され、私と健太郎君だけが取り残されてしまいました。
ベンチに座る狼谷君。さっきまで滑っていたから、汗で濡れた前髪がおでこにひっついてる。
水も滴るいい男。前髪を掻きあげる仕草も様になってる。
やばいねぇ。こういう仕草に女子は弱いのです。
「……なに?」
「え? いや、やっぱカッコイイナーって」
「なっ!?」
うへへ、照れてる照れてる。
最初は見た目や噂で恐い印象だったけど、実は人見知りなだけだとわかってからは、少しだけだけどお話するようにはなってきた。