銀盤少年
頭を抱える健太郎君のキャパは、限界値まで吹っ飛んだようだ。
女の子だと思ったら実は男の子で。だけど恋愛対象は男の子じゃなくて女の子で。本当は男の子なのにレズで……。
うん、すっげぇややこしい。自分で言っておきながら混乱してきた。
「まさか狼谷……優希のことが好きに……」
「ふざけんな! んなわけねーだろ!」
一樹がまた余計なことを言いだしたから、喧嘩モードに突入しちゃった健太郎君。
こうなると、二人の口喧嘩は止められない。
買い言葉に売り言葉。どんどん話の論点がズレていって、いつものようにお互いのスケートの欠点を罵り合うということになる。
最近じゃヒロ君も仲裁に入らなくなった。
口論から先に発展することはないし、別の角度から見たら弱点を教え合っているから+になるだろう。
というのがヒロ君の言い分だけど、絶対相手するのが面倒くさくなったからだよね?