銀盤少年
それは俺だって勘弁願いたい。登校初日に担任のありがたいお説教はコリゴリだ。
いつの間にか温くなったコーヒーを飲み干して、ソファに置いてある荷物に手をかける。
今日から新学期。俺も高校二年生。
初日はちょっとしたガイダンスがあるだけで午前中には終わるはず。
わざわざ荷物を増やすこともないので、学校指定のスクールバックには筆箱と財布だけを忍ばせ肩にかけた。
もう一つ荷物があるけど、一旦家に帰るから置いとくことにしよう。
スケートグッズが入ったスポーツバックを、邪魔にならないよう客間の隅に置いてある仏壇の前にポーンと放り投げた。
ついでに仏壇のチーンってやつを鳴らして、手を合わせる。
「んじゃ、行ってくる」
遺影の兄貴に声をかけ、俺の一日が始まるのだ。