銀盤少年
うん。確かに見応えがあった。下手すりゃその辺のシニアよりも良かったかもしれない。
「でも」
このまま絶賛の嵐で終わるかと思っていたら、視界に狼谷が入らないよう俯きながら、草太は批評を続けた。
「スピンのレベル取りは出来てなかったなって。ステップも難しいことをやってるけど、よく見たらエッジが浅かったし、案外レベルが取れてないかもと……」
チッと狼谷が舌打ちすると、草太はビビって俺の陰に隠れた。
まあ恐いよなぁ。常にATフィールド全開で眉間に皺寄せてる奴だし、今は金髪だし、不良だし。
でも草太の批評は的を得ている。
スピンのポジションは全てノーマルポジション。基本的な姿勢のみ。
ステップも動いてはいたけどエッジが浅くて、上半身の動きで上手く誤魔化していた。
繊細さに欠くというよりは、現状で出来ることをやったという感じだろう。
「次は表現審査員の優希ちゃん。どうぞ」