銀盤少年
「そうだね。スピンは所々乱れててケンちゃんみたいな華やかさには欠けるけど、レベル取りはしっかりしてたね。では、優希ちゃん」
「はい! カズは毎度毎度楽しそうに滑るよね。見ててこっちも楽しくなったよ!」
「お、おう。なんか照れんな」
「でも健太郎君の方が演技に引き込まれたなぁ。色気ムンムンって感じで、一樹には一生無理な演技だねっ!」
「こいつ……」
ワナワナと拳を震わせているが、皆の手前行動に移すことが出来ないようだ。
いや、俺達がいなくても手なんか出せないか。優希ちゃん強そうだし。
「じゃあ得点を書いてください」
事前に渡したメモ帳に得点を書いていく。
二つ折りにされた紙を受け取ると、ケンちゃんの演技の時に渡された紙と交互に見比べた。
この結果で全てが決まる。
緊張の一瞬。まずはケンちゃんの得点から―――