銀盤少年

技術点はそれぞれのエレメンツに予め指定された基礎点に、出来栄え評価の減点加点を加えた合計点。演技構成点は、五つの項目の得点に係数をかけた合計点。


スケート技術、技と技とのつなぎ、演技力、振り付け、曲の解釈の五項目。


「演技力と曲の解釈は、ダントツでケンちゃんだった。滑りも綺麗だったし、ケンちゃんの世界観には引き込まれた。カズはまあ……用練習？」


さらりとカズに矢を放ってしまったけど、フォローはまた後にしよう。今はケンちゃんを納得させるのが先決だ。


「だけど残りの二つはカズが上回ってた。ケンちゃんは後半失速して、途中何度も休憩を挟んでた。つなぎもかなり省いていたしね」


「だが振り付けは！」


「ケンちゃんの振り付けは人の目を引き付ける素晴らしいものだけど、魅せるところとそうじゃないところのギャップが激しい。カズの振り付けは決して派手じゃないし堅いけど、最初から最後まで、細かい所にまできちんと振り付けを施してた。それこそ指先までしっかりとね」


後は年季の差か。


ケンちゃんの表現がどんなに素晴らしい物でも、演じる物は二年前のプログラム。


二年前のケンちゃんに合わせた構成になっているから、プログラムの密度も若干薄いし、ケンちゃんの表現力を引きたてるどころか足を引っ張っていた。