銀盤少年

ケンちゃんを俺達に睨みを利かせると、乱暴にタオルをまた床に投げつけてリンクから去って行く。


静寂な空気を破ったのはカズだった。


「……えーと、これってつまり俺の勝ちってことでいいんだよな?」


「ケンちゃんも負けを認めたしね」


「やった! やったじゃん一樹!」


喜び爆発。優希ちゃんは背後からカズに抱きついて、やったやったとその場で何度も飛び跳ねる。


カズは顔を真っ赤にさせながら「離れろ!」と叫んでいるけど、優希ちゃんはお構いなしに髪の毛をグチャグチャに撫でまわしていた。


「あの二人っていつもああなの?」


草太君に訪ねると、眉尻を下げて困ったように頷いた。


助けろとこちらに救援を求めているけど、カズもまんざらではなさそうだから放っておこう。


それよりも、これからどうするかが問題だ。
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