銀盤少年
二月の海
「今日はやけに機嫌がいいのね」
登校中優希とバッタリ遭遇して、開口一番にそう言われた。
低血圧で朝は一人で居たい俺だが、今日だけはニヤニヤが止まらない。
「まあな。なんてったって二枠確保ですから!」
昨日行われた選考会。俺は見事最大枠を与えて貰ったのだ。
一戦だけ出場して結果により二戦目も派遣というお試し期間じゃなくて、最初っから二戦出場が確定したのだ。
いやはや、お偉いさんも俺に期待しているってことですね。あははははっ!
「ほんと運だけは強いよね。去年の補欠出場といい、今年の二枠といい。袖の下でも送ってんの?」
「お前なぁ……そこは素直に俺の頑張りを褒め称えろよ」
「一樹は調子に乗ってヘマするタイプだからね。天狗にならずに精進なさい」
この野郎……。
人の機嫌を地に突き落とす天才だなこいつ。まじで性質わりぃ。