銀盤少年
ジャズはリズムに乗って滑りやすいし、映画音楽はストーリーがあるから世界観とか表現しやすいし。
クラシックはなんかお堅いイメージがあって苦手なのだ。
「もっとさ、爽やかでしっとりとしたプログラムを作れないの?」
「爽やかでしっとり?」
「うん。一樹の今までのプロって、どっちかっていうとドンチャン騒ぎ系が多いじゃん? 草太君みたいにスローテンポで、じっくり魅せるような爽やかしっとり優雅系のやつがないなぁっと思って」
ドンチャン騒ぎ系って生まれて初めて聞いたぞ。
優希が言わんとしていることはなんとなくだけど理解できる。
今まで滑った曲は、会場が盛り上がるような物ばかりを選んでいた。
じっくり演技を見る様な、優希の言う爽やかしっとり優雅系の曲はほとんど使ってこなかったかも知れない。
ていうかマジで記憶にねぇな。まあ俺の雰囲気に合わないと思って、避けてきたのは事実だが。
そっか、しっとり系か。チャレンジするのもいいかも知れんが。