三日月の僕ら
蓮を見ながら必死に叫ぶ遼。
蓮は悔しそうに唇を噛んだ。
蓮だって、戻りたくないに決まってる。
このまま帰ってきたいって、思ってるはずだ。
「蓮…行かないで……戻らないでよ…」
あたしは泣きながら蓮に言った。
もう二度と蓮と離れたくない。
蓮がいないとだめなんだ。
蓮がいないと欠けたままなんだ。
あたしたちは三人で満月になる。
蓮がいないあたしと遼は、十六夜月でも半月でもない。
三日月なんだ。