三日月の僕ら
男の拳は、遼によって止められた。
「蓮のこと、解放してやってくんねー?」
男の拳を掴んだまま、遼は言った。
「解放?
意味分かんねーんだけど。
蓮は俺たちの仲間なんだよ」
男は嫌な笑みを浮かべながら言った。
男たちに蓮を解放する気なんてないみたいだった。
あたしは悔しくて、なんで分かってくれないだって思って、口を開いた。
「あんたたちにはさ、彼女とか大切な人いないの?」
「あ?」
「大切な人がさ、危険なところにいて、自分のところに戻ってこなかったら、どう思うの?」
「それはっ……」
「あんたたちが悪いことするのは勝手だよ?
だけど蓮を巻き込まないで」
あたしの言葉に、口を開くものは誰もいなかった。
分かってくれたのかな?