FLOWER
座ろうたって、

もう足に力が入らなかった。



俺は膝から崩れた。

『手術中』のあの

赤いランプが

視界に入る度、

俺の目の前にどうしても

ついさっきの

緋色の液体溜りの光景が

ちらついてしまう。



父さんが、俺を抱えて

椅子に座らせた。




「大丈夫だ、心配するな。

 俊稀君は、

 弱い子じゃないだろう。」




父さんは、俺の肩に手を置いた。

俺を、

宥める様に。



父さん…つーか

ここに居る全員、

俊稀が俺のために

動いてくれていたことは

さっき知ったわけで、

その為に俊稀が

どんなことをしたのかだって

当然知っている。

だから、こんな

言葉が出てくる。









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