ユウコさん(仮)の彼氏
「お前もさっさと諦めりゃいいものを。」



「同情するならシフト教えろ、っつーの。」



「同情?んなもん、これっぽっちもしたことねーっつーの。」




相変わらず同じ場所をパタパタと叩く店長さん。



「つか、諦めろ。もう、諦めちまえ。」



「ですよねー。あたしじゃ奈緒おねーちゃんに敵いっこないし。」



「奈緒おねーちゃん?」



「はい。あたしのイトコのおねーちゃんで、優斗先輩と同じクラスで、彼女…と思しき人です。」



その横では、雑誌を棚に返し、再び適当な雑誌を手に取るあたし。



「優斗と同じ…彼女…おぉ!あのスタイル抜群の、将来有望そうなベッピンなねーちゃんかっ!!」



「んな目で見てたんですか。奈緒おねーちゃんのこと。……訴えますよ。」



「手は出してねーぞ。こう見えて俺は、奥さん一筋だ。」



「視姦ってやつです。ってか、んなこと訊いてません。」



「最近の女子高生って怖ぇーな。」



「自分の身は自分で守る。これ常識です。」



「最近の女子高生、強ぇー!」



強面の店員のおじさんと、可愛い女子高生が仲良く(?)話してる光景は端から見ればかなりシュールだと思うけど、一応、内容はいたって真面目な話。



「まっ、話は戻るけど、諦めるならさっさと諦めるこった。」



「諦める…かぁ…。」



ポツリと呟いたあたしは、チラリと先輩を見ると、はぁ…っと溜め息をついた。

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