ユウコさん(仮)の彼氏
先輩、本当に行っちゃっ…た。



先輩の後ろ姿を見つめながら少しだけ唇を尖らせたあたしは、小さく溜め息をついた。



せっかく仲良くなれたんだし、こう、もうちょっと名残惜しそうにしてくれたっていいじゃん。



これじゃ、あたしだけ寂しいみたい…って、ダメダメ!!



瞬間、何かを振り払うようにプルプルと頭を振ったあたしは、「よしっ!」と、ひとり小さく頷くと再び先輩を見た。



なに烏滸がましいこと思ってんの、あたし!!



つい1時間前までのことを考えれば、今日のこれは確実に一歩前進じゃん!



先輩と話しが出来て、笑い合えて、バイトまで口添えして貰えて…。今日1日で10年分の贅沢をした気分だよ!
ううん。気分じゃなくて、間違いなく贅沢したね、あたし。



ってことで、……よしっ!明日からは、きっと、もっともっと頑張れる。



恋はもちろんのこと、バイトも便利も何もかも、



「頑張るぞぉぉー!!」



「やかましい!!」



「でもその前に、研修だぁぁぁー!!」



そして“気合いだぁぁー!”といわんばかりに天井に拳を突き上げたあたしは、相変わらず吠える店長さんを無視し、いつの間にか落としていたプリントを拾い上げ、ギュッと握り締めると、歯ブラシセット片手に先輩の待つレジへと走って行った。




-To be continued...-

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