ユウコさん(仮)の彼氏

「むぅー…２人かぁ。さすがにキッツいなー。」



「へ？何が？」



うんざりと言わんばかりに眉間に皺を寄せる俺の顔を覗き込みながら小首を傾げる奈緒。



これ以上、嫉妬を買うのは流石に勘弁。ギラリと光る拓馬サンの恐ろしい視線からさり気なくスッと目を逸らした俺は、傍に転がっていたチャッピーに手を伸ばすと、それを奈緒の膝の上に乗せた。



「いや、澪ちゃんさ、今週からウチのコンビニでバイトすることになったんだよねー。」



「あー…」



瞬間、申し訳なさそうにスッと目を目を逸らし、チャッピーを抱き締めた奈緒。



拓馬サンの目がギラリからキラリに変わったのは計算済み。



「俺、痩せちゃうんだろうなー。」



「本当にゴメンね、優斗。」



「まっ、ウチの店、従業員同士の恋愛禁止だから。だいたい２キロってとこかなー？」



「いや、あの子そんなの気にしないから。普通に“恋愛禁止上等！”とか言っちゃうから、絶対。」



「あー…おにーちゃんと血繋がってるんだもん、ね。」



「ほんっとうにゴメン…。」



「ん。」



内心、ホッとしたのは顔に出さず、ニッコリと満面の笑みを浮かべた俺は、本当に申し訳なさそうにシュンとする奈緒の頭をポンポンと撫でた。