仮想世界
第一章:バーチャル
面白くない…。


俺は、昨日買ったばかりのゲームをしながら授業を受けている。
教室の一番後ろの席、しかも窓側という好条件の場所なので、教師に見つかることなく居眠りだろうが早弁だろうがゲームだろうが何でもやり放題なのだ。


ちっ、面白くないゲームだな。こりゃ失敗したよ。
…しかし、コイツらも真面目だよな。飽きもせずよくもまぁ、毎日毎日授業を受けるもんだ。


俺はゲームの電源を切り気まぐれにシャーペンを取り、黒板に書かれている数式を、よく理解もしないままただノートに書き連ねる。


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り、4限目の授業が終わる。
クラスのヤツらは友達同士机を付けてご飯を食べたり、学食へ出かけたりする。
が、俺だけは自分の席から一歩も動かない。
鞄の中から弁当を取り出し、自分の机に広げる。
俺は弁当をなるべく遅く食べるよう心掛けている。
そうしないと、昼休みが余計にあまるからだ。


コイツらの中に、今日が俺の誕生日だってことを知ってるヤツは誰一人居ないんだよな…
まぁ、生まれて17年間親以外に誕生日を祝って貰ったことなんかないけどね。
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