仮想世界
悪沢の取り巻きの一人である中村が、俺の髪を掴みながら言う。
いつの間にか悪沢たちは俺を取り囲み、外から俺が見えないようしている。いじめの常套手段だ。


「お前、マジふざけてんな、お?常に金持ってこいやカス!
…聞いてんのかカス!?お?カスが舐めたことすんなよな、カス!」


コイツは鈴木。
悪沢の取り巻き連中の中でも随一の馬鹿で、喧嘩もあまり強くない。
カスが口癖のボキャ貧のくせに、立場が上の奴に取り入る術は心得ているような粕だ。


「ヅラ、お前はホント馬鹿だっ!

ドガッ!

よっ!

バギッ!

なっ!!

ガスッ!

俺らにさぁ、ちゃぁんと金渡せばこんな痛い思いしなくて済むのになぁ?

ドゴッ!

ヅラぁ、明日は3万持ってこいや。それで許してやんよ。
学校休むなよぉ?休んだらどうなるか、……分かるよなぁ?」


悪沢は俺の腹や足を殴ったり蹴ったりしながら言った。


痛ぇ…。身体のあちこちがズキズキする。
なんで俺がコイツらに金やんなきゃなんねぇんだよ…。


「………はい、分かりました。明日、持ってきます。」


こんな自分が嫌いで嫌いで仕方なかった。
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