毒 と 薬



「それで‥
スッゴい今ムカついてる」


『大丈夫?』



電話からは私が想像していたものとは違う返答が聞こえた


「大丈夫って何よ!」


『本当は悲しかったでしょ』



「悲しい?」


『そう、1人になるって言われて』


「そんなわけないじゃん!」



無いはずだ
悲しいなんて有り得ない


なのに声が震えた



『‥なら、いいけど
あ、ゴメン。もうご飯だわ』



電話の後ろから綾香のお母さんの声が聞こえた



「分かった。
なんか、本当にゴメン」


『気にすんな、じゃあまた明日』




そう言った後すぐ耳に機械音が聞こえてきた


携帯を耳から離して壁にもたれる



「本当にどうしたんだか‥」



訳の分からない不安、
得体の知れない闇、


何でこんな不安になるんだ__



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