ハルオレ-episode彼方-
「こんな所でどうしたの~?」
「……。」
「ん?もしかして具合が悪いとか?」
クソ。こいつ、わかってて聞いてるな。
「あ、ホントだ~。熱があるみたいだねー。ダメだよ。こんな体で夜遊びしちゃあ。」
翔は僕の額に手を当てて小バカにするような軽い態度を取った。
こいつの無神経さと言うか…。とにかくコイツのニヤついた顔を見ると殺したくなるな。
それに僕は遊んでいたわけじゃない。
ちゃんとバイトしてきたんだ。ゲームばかりしているお前とは違うんだよ。
そういえば翔を見るたびにその手に持っているポータブルゲームは彼と2セットな気がする。
こいつゲーマーか?っていうか、コイツ普段何してんだろう。
僕は翔とまともに話をしたことがないので、彼が何歳で学生なのか、さては働いているのか何も知らないのだった。
「ほら、こんな所に座ってないで、早く部屋に帰って寝たほうがいいよ~。」
だから動けないんです。空気読んでください。
「あ、もしかして動けない?」
僕は翔に問われ、うんと頷いた。
もう声に出すのもしんどい状態だった。
「手を貸してあげよっか?」
そう言って手を差し出した翔に『助けて』なんて正直言いたくないけど…。
翔の力を借りないと部屋には戻れない。ここは我慢してお願いしよう。
僕がしぶしぶそう思った時。
ピロリロリン♪
謎の電子音が廊下に響き渡った。その途端。
「あ、ヤベ!俺の嫁、BADエンディングフラグ出ちゃった!」
翔がポータブルゲームに向かって何やら意味不明な言葉を叫んだ。