ハルオレ-episode彼方-
「うわ~。困ったなぁ。どうしよう。しかたないアイツにちょっと聞いてみるか。」
焦りながらブツブツと翔は呟き始める。そして。
「…あ、ゴメン彼方。俺ネットの友達にどうしたらいいか聞かなきゃいけないや。」
「は?」
「そういうわけであとは自力で部屋に戻ってくれる?」
翔はそう言って去り際に『あ、ちなみにコレが俺の嫁の雅人君です☆』と聞いてもいないのにポータブルゲーム画面に写る制服姿の男キャラクターを見せ付けてきた。
どうやら翔のやっているゲームは男キャラクターがメインの恋愛シュミレーションゲームのようだ。
てか、なんで俺の嫁が男のキャラクターなのだろうか?…って今はそんなことどうでもいい!
「じゃーまたねぇ☆」
そして翔は急ぎ足で自分の部屋へと帰っていった。
もう僕はそんな翔に呆然となるしかなかった。
さ、最悪だ。
僕は未だかつてここまで邪道な人間を見たことがないかもしれない。
翔にはその最低ぶりに正直感心させられる。
その上、動けない僕の状況は何も変わらない。
ああ。どうしよう。でも体が言うことを聞いてくれない。
かといって、誰も助けてくれない。
……しかたない。
このままちょっと寝よう。起きたら少し具合がよくなっているかもしれないし。
僕はそのまま壁にもたれて目を閉じた。
蘭藤荘に来て初めて家に帰りたいかもなんて思ってしまった。