ハルオレ-episode彼方-

翔とバイト



「あ、彼方~。元気~?」


なぜだろう。ここ最近翔と廊下でよく会う率が高い。

相変わらず翔とはただの同じ屋根の下に住んでいるだけの関係。
仲が良いわけでもなく、むしろ向こうから話しかけられない限り話すことはないだろう。

まぁ、正直僕は破天荒すぎる彼とはあまり関わりたくないんだけど。
彼に会うたびにこうして声をかけられる。


「…別に元気だよ。」

「そう♪それは良かった~。」

「じゃあ、僕。急いでるから。」


そう。お前にかまっている時間は今の僕にはない。
僕はこれからライブハウスのバイトがあるんだ。


「なんだよ~。つれないなぁ~。もっと俺と話をしようよー。」


翔は相変わらずポータブルゲームをプレイしながら頬を膨らました。

さすがに急いでる時そんなこと言われたらカチンにくる。


「…はぁ。あのねー。僕これからバイトだから。」

「え?バイト?彼方、バイトしてんの?」


珍しく興味があるのか翔の瞳が丸くなった。


「うん。そうだけど…。」

「へ~~!すごーい!バイトしてんなんて尊敬!ねぇ、なんのバイトしてんの?」


バイトが尊敬?何言ってんだこいつ。


「…ライブハウス。」

「ラ、ライブハウス!うわ~!!か、かっこいい~~!」

目を輝かせてる…。こんな翔を見るのは初めてだな。
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