ハルオレ-episode彼方-
彼女の家から蘭藤荘に向かう道中、タクシーの運転手に若菜さんのことを『彼女ですか?』って聞かれたけど僕は『違います』と答えた。そりゃあ、キスなんかしたらそう思われるよな。
てか、思いっきり運転手にキスを見られたからこの道中は死にそうなくらい恥ずかしくてたまらなかった。
でもキス…か。
僕は再び口元に手を添える。
こんな風にキスされたのは初めてだよな。
好きでもない相手、しかも年上の店の常連客にされたなんてなんか複雑だ。
ああ、帰って翔になんて報告すればいいんだろう?
…って待て。アイツにこんなこと報告する必要はないだろ。
はぁ…なんか疲れた。
帰ったら早く寝よう。
うん。そうしよう。