ハルオレ-episode彼方-
ま、高校に行かない、働いてもいない15歳がはっきりと無職と名乗っていいのか怪しい所だけどな。
僕が無職と答えてから、男はしばらく黙りこんだ。そして。
「じゃあ、お前うちで働かないか?」
「え?」
男の口から思いもしない言葉が飛び出した。
「俺はここの店長をやっている、榎波(えなみ)だ。」
「え!店長…?」
この人、ただならぬオーラを感じてたけどまさかこのライブハウスの店長だったなんて…。
そんでもっていきなり店で働かないかとスカウトされるだなんて…それマジかよ!?
「シフトは週5、昼過ぎから閉店まで。時給は800円から。ん~、そうだ。明日からどうだ?」
ど、どうだって?僕まだ何も返事してないのにもう働かせる気満々じゃん。
「どうだ?お前うちにこいよ。」
でも。
「…あの…本当に僕でいいんですか?」
僕の中では店長に言われてすぐに答えは決まっていたのかも。
「ダメなら最初からこんなこと言わない。」
「あはは…そうですね。」
「で、返事はOKってことでいいんだな?」
「はい。明日からよろしくお願いします。」
僕は店長に深く頭を下げた。
僕の答えに対して、店長が笑ったが僕は今でもその顔が忘れられないでいる。
こうして、僕は突然の店長との出会いでライブハウスでバイトを始めることになった。