ハルオレ-episode彼方-
「でも…宮下君はなんでこの蘭藤荘に?」
頭がいかれてる彼がなぜここに来たのか正直謎だよな。
「あー。なんで俺がこの寮に来たかってこと?」
僕は大きく『うん』と頷く。
「ふふっ。実は俺の父親が理事長の大学時代の友人らしくてさー。父親が俺が一人暮らしするってなった時に、直接理事長に寮を使わせてって話をつけてくれたんだ。要するにコネってやつ?」
ふーん。こいつがここに来た理由は僕と似たような感じとはね。
「ま、その辺は君と同じだよね~。」
「え?」
「ね?」
な…。ななな、何?同じって…。
なんで僕に同じって言えるんだよ!?
もしかして僕の心読まれた!?つかなぜ分かる!?
てか、こいつやっぱり頭いかれてる。
「まぁ~そんなわけで~。俺は今から荷物の整頓するからドロンいたしますかぁ~。」
翔はそう言うと笑顔で僕に手を振った。
「じゃっ!まったねー彼方君!これから同じ屋根の下で仲良くいたしましょう☆」
「…はい。よろしくお願いします。」
翔はそのままスキップしながら自分の部屋に帰っていった。
僕の翔の第一印象はまるで嵐のような男だった。
そんな翔との出会い。
それが僕の新しい日常を破壊する序曲となるとは僕はこの時思いもしなかった。