ハルオレ-episode彼方-
風邪
翔との出会いから少したった後の話だ。
その日、いつも通りバイトが終わって店長に恒例のラーメンを誘われたのだがなんだか疲労感に見舞われ誘いを断って僕は帰宅した。
まずいな。体がだるい。
風邪でもひいたかな。
蘭藤荘に着いて、僕の体調は一気に悪化した気がした。
熱っぽいし、冷や汗が出る。
早く部屋で寝ないと。
僕が部屋に向かおうと階段を上がるが、最後の一段を登りきった途端。
ガタッ!
体のバランスを崩したと同時に僕は壁に手をついて体重を支えるが力が入らず、そのまま床に座り込んだ。
だめだ。うごけない
部屋が目の前だっていうのに…。
僕は壁を背にして大きく深呼吸した。
そういえば、いつも体調が悪くなった時は母さんか誰かが看病してくれたけど、思えば今は一人だ。
…このまま治ればいいけど、治りが悪いようなら病院とかどうすればいいんだろ。
「あれ~?彼方じゃん。」
僕は突然上から降ってきた声に目を見開く。
見上げたそこには、ラフな服装でポータブルゲームをやりながらニヤニヤしている翔がいた。
…てか僕と出会ってまだ間もない上に親しくないのにもう呼び捨てかよ。