彼女の10円。
拓から言われた事実をなかなか受け止められない。



俺はアパートに帰って純の10円を握りしめる。



何で純は出てったんだ…。



俺が何かしたのか?



何で純の隣にいる男が俺じゃない…。



なぁ純、俺たちは幸せだったよな?



俺、今店、任されてんだ。



俺と拓で店やってんだよ。



2番だった夢は叶ったんだ。



1番叶えたい夢はもう叶わないのか?



純に会いてぇよ…。



この日俺は久しぶりに泣いた。



純…。



俺じゃダメなのは俺がガキだったから?



忘れらんねぇよ…。



俺の心の中にいる純は決して出ていかない。



あの時の気持ちはズット変わらないんだ。



俺はどうすればいい?



俺が眠りにつく頃には手の中の10円は熱くなってた。



俺の純への想いと同じ様に。


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