彼女の10円。
百合は俺の覚えてない話をする。



「上靴で歩きだした百合に『イジメなんかに負けんなよ♪』って言ってくれたんだ。それから。人気者のイチに近づきたくて、外見から変えてったの。百合がイジメなんか無視してたらいつの間にかイジメられなくなってた。イチがあたしを助けてくれたの。」



マジか…



「だからイチが好き。イチの側にいたい。友達でもいい…」



百合ってそんな奴だったのか…



でも…



「俺、好きな人いるんだ…。悪い…。」

「イチが百合を嫌ってるのも分かってたよ…。ごめんね。もう近づかない…。」



百合…



百合は泣きそうな顔で俺に背を向けて歩きだした。



あぁぁぁ!!
めんどくせぇ!!



「百合!!」



百合は立ち止まったまま振り向かない。



「お前マジめんどくせぇ!!彼女にはできねぇけど友達にならなってやるよ!!それなら側にいれんだろ!?」



百合はゆっくりこっちを向く。



「やっぱりイチ大好き♪今日から友達!!今度は遊んでね♪」



百合は涙を流しながら俺に笑顔を向けた。



ごめんな、百合…



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