彼女の10円。
「太一見てると思い出すから。」

「何を?」

「元彼…」



マジか…



そうか…。
俺は元彼に似てんだ。
そう言えば前に言ってたな。
『大嫌いな人に似てる』って。



でも俺は俺。



「俺は純の元彼じゃない。」

「分かってる。」

「分かってねぇよ!!何で俺を1人の人間として見ねぇんだよ!?ガキだ!?俺はガキでも元彼でもねぇ!!俺は俺なんだよ!!」



あっ…。



「でも無理!!あたしは太一とは付き合えない!!これ以上あたしの中に入ってこないで!!あたしは誰とも付き合わない!!もう誰も好きになりたくないの!!」



純は泣き出しそうな顔で俺を見つめる。



「でも俺は純が好きだ。」

「もうヤメテ…」



俺は無意識に、泣き出した純を抱きしめた。


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