教科書を広げて


「なんだ?・・・恋愛の教科書?」


「いい?」


「著者、徳二郎・・・あッ!!」

本の方を向いていたおじさんが急に声を上げる。

そして、眉ねを下げ申し訳なさそうに私を見ていた。


「静ちゃん。ごめん!!」

「え?」

「これはダメだ。ウチの息子の忘れ物だ。」

「えぇ〜!?」


息子の!?

欲しかったのに〜

何故だかどうしても欲しい気分なのに〜


「同じ本はないの?」


一応聞いてみる。


「個人出版だからね〜。それにド素人の作品だから一冊も売れなくてこれ以外処分してしまったよ。」




そんなぁ〜


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