教科書を広げて
初めて来た人はおじさんの顔を見て、まず敷地を跨(マタ)ぐことを躊躇(チュウチョ)する。
当然奴らは入ってこない。
狭いけど、ポピュラーなものから古いマニアな昔のものまで幅広い本が置いてあるいい書店なのに・・・
私にとって、どの本屋よりも一番気に入っている場所だ。
引き戸を閉めたときに鳴る
"チャリンチャリーン"
という音色とともに
「おう、いらっしゃい!!」
と威勢(イセイ)のいい、いつもの声が降ってきて、私は笑みを漏らす。
ここを気に入っている理由として、おじさんがいるからってのもあるかもしれない。
「どうした。なんか良いことでもあったか?」
ニヤリと笑って私を探るような目つきにブッっと吹き出してしまった。
おじさんには笑わされてばかりだ。
そういえば初めて来たときも、大笑いした。
確か店の名前で。
その名も"天使書店"という。
おじさんとファンシーなお店の名前のギャップに我慢できなかったのだ。
ツボすぎる!!
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