教科書を広げて
「おじさん、元気だなぁと思って。」
いそいそとレジの横にあるがたついた四角い椅子に腰掛け、寛(クツロ)ぐ。
この椅子は私のために用意されているようなものだ。
「元気だけが取り柄だからねぇ。」
ワッハッハと豪快(ゴウカイ)に笑い、お得意様の私に冷たい麦茶を差し出した。
有り難く受け取り、ぐいっと飲み干す。
極楽〜極楽〜
こんなにいい場所なんてそうそうないだろう。
おじさんは私に優しいし、大好きな本はいっぱいあるし。
私にとって天国といっても過言ではない。
だから今日もまた、新しい本と癒(イヤ)しを求めやってきたわけだ。
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